金属・プラスチックのスクラップを扱うヤードが、全国で許可制の対象になります。
法律が改正になり、概ね2年半以内に全国で許可制となります。
01 制度の概要
金属・プラスチックのスクラップを扱うヤードが、全国で許可制の対象になります。
法律が改正になり、概ね2年半以内に全国で許可制となります。
全国スクラップヤード規制とは、令和8年6月に成立した改正廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)により新設された、使用済みの金属・プラスチック物品の「保管」「再生」を都道府県知事の許可制とする全国一律の規制です。これまで埼玉県・千葉県などの自治体条例で個別に規制されてきたスクラップヤードが、廃掃法第四章の二の新設により、公布から2年6月(2年半)以内に全国で許可制へ移行します。
金属スクラップヤードや使用済プラスチックの保管・再生に関わる事業者の皆さまにとって、見過ごせない法改正です。いわゆる「ヤード規制」を盛り込んだ廃棄物処理法(廃棄物の処理及び清掃に関する法律)等の改正法案が、令和8年5月22日に衆議院、6月12日に参議院で可決・成立し、令和8年6月19日に公布されました。
これまで自治体の条例(埼玉県・千葉県など)で個別に規制されてきた金属スクラップヤード等が、廃掃法の改正によって全国一律の許可制となります。
改正廃掃法の「ヤード規制」とは
今回の改正は、廃棄物処理法に新たな章(第四章の二)を設け、「使用済みの金属・プラスチック物品の「保管」と「再生」を行う事業を、都道府県知事の許可制とする」ものです。鉄スクラップ、被覆ケーブル、雑品スクラップ、廃プラスチック由来の物品などを大量に取り扱うヤードが、主に念頭に置かれています。
規制の対象は「すべての金属・プラスチック」ではなく、法律案では、対象を次のように限定して定義しています。
「使用済金属・プラスチック物品」=使用を終了し、収集された物品で、その全部または一部が金属またはプラスチックから成るもの。
(廃棄物、放射性物質およびこれによって汚染された物は除く。)
そのうち、適正な保管・再生が必要なものとして「要適正保管物品」「要適正再生物品」が定められます。
「有価物だから廃棄物処理法の許可は関係ない」という従来の理解は、このヤード規制では通用しません。
有価で買い取っているものであっても、要適正保管・要適正再生物品に当たれば許可が必要になります。これが今回の改正の最も大きなポイントです。
許可は「保管業」と「再生業」の二種類
新たな許可は、大きく二つに分かれます(いずれも許可権者は都道府県知事)。
1. 保管業(要適正保管物品の保管業)
譲渡を目的とした保管などを業として行う事業。
2. 再生業(要適正再生物品の再生業)
再生(具体的範囲は政省令で定められます)と、その再生のための保管を一体でする事業。
制度のポイント
許可基準
許可基準 事業を的確かつ継続して行うに足りる経理的基礎があること、施設が保管・再生の基準に適合していること、事業を的確かつ継続して行う能力があること、欠格要件に該当しないことなどが基準の例として示されています。詳細は今後の政省令で定められます。
欠格要件
欠格要件 拘禁刑に処された者などが欠格要件の例として示されています。廃棄物処理業の許可と同様の考え方によるものです。
既存業者の特例
廃棄物処分業者などの既存事業者は、新たな許可を受けないで事業を行えます。
環境省の資料では「許可みなし」と説明されており、既存の廃棄物処理業者、廃棄物処理施設の設置者、各種リサイクル法等の許認可事業者などは、許可事業者とみなされる整理です。対象となるのは、資源有効利用促進法・自動車リサイクル法・小型家電リサイクル法・プラスチック資源循環法・再資源化事業等高度化法の許認可事業者(一部の委託を受けた事業者を含む)です。
ただし、許可を受けないで事業を行える場合であっても、保管基準・再生基準等の遵守義務は同様に課されます。「許可がいらない=何もしなくてよい」ではありません。
輸出規制
輸出規制 国内で収集された物品のうち、バーゼル法の特定有害廃棄物等に当たるものは「特定要適正再生使用済金属・プラスチック物品」とされ、その再生等はなるべく国内で行うことが原則となります(国内再生原則)。
輸出しようとする場合は、環境大臣の確認を受ける必要があります。
使用済鉛蓄電池、電子スクラップ、基準未達の使用済プラスチックなどが例として示されています。なお、無確認輸出は罰則の対象で、未遂罪・予備罪も設けられます。使用済みの金属・プラスチックの輸出すべてに確認が求められるわけではありません。なお、どの物品が「環境汚染のおそれのある物品」に該当するかなど、具体的な範囲は今後の政令・省令で定められる見込みです。
有害使用済機器
今回の改正により、有害使用済機器保管等届出制度(平成29年改正で導入。家電4品目・小型家電28品目が対象)は廃止されます。そして、これまで届出をしていた事業者は、新たな許可制度の対象となります。現在この届出をしている事業者様は、将来的に許可の取得が必要になる可能性が高いとお考えください。
今回の法制度は、必ずしも「屋外」に限定した規制として整理されているものではありません。
規制の対象は、施設そのもの、いわゆる「屋外ヤード」に着目するというよりも、取り扱う物品や事業の内容に応じて判断される仕組みとして設計されています。
また、法律自体は成立しているものの、具体的な対象物品、手続、基準などの詳細については、今後、政令や省令等で定められていく予定です。
現時点では、条例上の制度と国の法律上の制度を分けて整理しながら、今後の政省令の内容を確認していく必要があります。
令和8年6月19日時点では、
- 施行日は「公布の日から2年6月を超えない範囲内で政令で定める日」とされています。
- 対象品目の具体的な指定、許可が不要となる小規模(敷地面積等)の線引き、保管・再生の基準など具体的内容は明らかになっていません。
02 国の検討状況
国の動き|第3回スクラップヤード環境対策技術検討会
令和8年9月15日開催された YouTubeで公開された第3回スクラップヤード環境対策技術検討会の発言内容です。
公開された会議の発言によると、第3回検討会では、金属・プラスチックの関係業界から保管・再生の実態を聞き、新たな許可制度の対象範囲や基準について意見交換が行われたとのことです。大きな論点となったのは、「どの物品・工程・保管場所まで許可制度の対象とするか」という点です。
1.今回は業界の実態を聞き、基準を具体化するための検討
環境省の説明によると、第1回では保管基準・再生基準の論点、第2回では完成品の製造工程・再生原料の考え方を示したとのことです。第3回では業界の実態や意見を聴取し、第4回以降に具体的な基準等を検討する予定とのことです。
したがって、今回示された各団体の基準案や要望が、そのまま全国共通のルールとして決定したわけではありません。
2.適正に営業している事業者も対象になる?
【環境省の説明】
不適正な事業者だけを規制するのではなく、制度対象となる事業者に規制をかけ、適正に事業を行える者に許可を与える仕組みとする。
「これまで問題なく営業しているから許可不要」という説明ではありません。事業の適正性と、制度の対象範囲に該当するかどうかは、分けて確認する必要があります。
3.金属の「再生原料」と「完成品」をどこで区分するか
【業界の意見】
日本鉄リサイクル工業会
長い鋼材を切断しても成分や環境影響は変わらないのに、切断前後で規制上の区分が変わることに疑問が示されました。
非鉄金属リサイクル全国連合会
受入れ時点から炉前材として使える物も多いとのことです。「再生原料だけを扱う」という理由で広く対象外になると、規制の実効性が下がるのではないかとの懸念が示された。
アルミニウムや製錬の関係団体
受入れ時点の品質、取引契約、製造工程、第三者認証等を踏まえた考え方が示されたそうです。物品の名称や加工の有無だけで一律に区分することの難しさが議論された。
4.プラスチックのフレーク・フラフ・ペレットの扱い
【業界の提案】プラスチック業界からは、解体・異物除去・選別・破砕と適切な保管管理を経た物を再生原料とし、粉砕で得られるフラフ・フレークや、押出造粒で得られるペレットを完成品とする考え方が示されたそうです。
一辺の最大寸法がおおむね20mm以下、外観上異物がない、雨に濡れないよう管理する、といった条件も提案されたとのことです。これらは業界案であり、決定した行政基準ではありません。
【環境省担当者個人の認識】環境省担当者個人の認識としては、フレーク・フラフ・ペレットを再生原料と捉えていたとのことです。ただし、発言に先立ち「事務局の統一見解というわけではありません」と断りがあり、今後検討する事項として扱われました。
5.工場と一体の保管場所「サテライトヤード」の扱い
【業界の要望】製造工場と一体管理される原料保管場所を、完成品の製造工程の一部として扱ってほしいとの要望がありました。質疑では、所有・運営主体、工場との関係、供給先、保管量、管理方法等が確認されたとのことです。
【自治体委員等の懸念】一般のヤードがサテライトヤードを名乗り、規制対象外を主張する抜け道にならないかとの指摘があったそうです。同じ会社やグループ会社の保管場所であれば当然に対象外になる、という基準は示されていません。
6.保管基準の実効性と、設備投資の負担
【業界の意見】
囲いや保管高さ、勾配などを一律に定めると、立地や取扱物の違いにかかわらず多額の設備投資が必要となり、事業継続へ影響するとの懸念が示された。
高さ等の数値だけでなく、荷の安定性を考慮してほしいとの要望もあったとのことです。
【自治体委員の説明】
自治体委員の説明によると、長年営業する事業者にも騒音・鉄粉等の苦情があり、ペレット等を製造する事業者でも飛散・流出、悪臭、排水の問題が起きているとのこと。製品の品質と、保管・製造工程が周辺環境へ与える影響は、別の論点として議論。
7.マニフェストとは別に、取引を記録する帳簿を検討
【環境省の回答】環境省の回答によると、今回の有価物への規制には、廃棄物の排出事業者責任・マニフェスト制度は適用されないとのことです。一方、帳簿を備え、「どこから購入したか」「どこへ売却したか」などを記録事項として検討しているとのことです。
帳簿の様式、記載事項の確定一覧、保存期間については、本検討会の発言では具体的提示なしです。「マニフェストが適用されない」という説明を、「取引の記録が不要」という意味に広げないことが大切です。
8.二段階審査と必要書類は業界からの提案
【業界の提案】日本鉄リサイクル工業会からは、登記事項証明書、納税・社会保険関係の資料等による一次審査と、実地確認による二次審査が提案されたそうです。非鉄の団体からも、経理的・技術的基礎を確認する提案があったとのことです。一方、財政能力に関する書類の提出を求めないでほしいという別の団体の要望もあったそうで、業界内でも意見が分かれていたとのことです。
【環境省担当者の評価】書類による一次的な確認を実務上有益と評価する発言があったそうです。ただし、採用が決定したとの説明ではありません。提案された書類を、確定した申請書類一覧として扱うことはできません。
9.自動車由来プラスチックの破砕と、電池のリユース
【業界の要望・行政の調整状況】自動車リサイクル機構からは、回収したプラスチックの破砕を既存許可のみなしに含めることや、帳簿と既存システムの整合を求める意見があったそうです。
環境省の説明によると、既存許可が当該破砕行為を担保しているかがポイントとのことです。経産省からは、結論は出ておらず、両省で調整を続けるとの説明があったそうです。既存許可があればすべての行為が自動的にみなしの対象になる、という回答ではありません。
電池のリユースについては、環境省の説明によると、再使用目的で使用を終えていない場合は今回の規制対象には入らないという考えとのことです。ただし、見極めが難しい場合は個別に相談・確認するとのことです。
10.第3回検討会で申請期限や書類は示された?
新制度の具体的な施行日、届出・許可申請期限、既存事業者の経過措置、確定した申請様式・添付書類一覧については、本検討会の発言では具体的提示なしです。これは当日の発言に具体的な提示がなかったという意味であり、法律上の施行期限等の説明とは区別してください。
発言中の「9月30日」は、業界側が審査・執行方法を提案する際の例示であり、行政が示した申請期限ではありません。第4回以降に具体的基準を検討する予定とのことですが、当日の説明では次回の具体的な日程も未定とのことでした。
資料:第3回スクラップヤード環境対策技術検討会のYouTube公開内容の文字起こし。本文は発言の要約であり、行政が確定した議事録や法令本文ではありません。
こんな事業を行っている方は、対象になる可能性があります(まずはご確認ください)
03 対象事業と準備
こんな事業を行っている方は、対象になる可能性があります(まずはご確認ください)
- 金属くず・鉄スクラップ・非鉄金属をヤードで買い取り、保管している(有価で買い取っていても対象になり得ます)
- 使用済みの家電や機械などから金属を取り出し、選別・保管している
- 被覆ケーブルや雑品スクラップを仕分け・保管している
- 使用済みプラスチックを保管し、または再生(材料などへの作り直し)を行っている
※上のいずれかに当てはまっても、必ず対象と決まるわけではありません。どの物品・事業場が対象となるか、また廃棄物か有価物かを含めた最終的な判断は、所管の自治体(都道府県等)が行います。対象品目や小規模事業者の線引き、基準の細部は、今後の政令・省令で定められる予定です。
いま、あわてる必要はありません。
1. 自社が扱う品目・保管量・保管場所を書き出して整理しておく
2. すでに県の条例(埼玉県・千葉県など)で許可・届出を済ませている場合は、その書類を手元にまとめておく
3. 施行までにはまだ時間があります(公布は令和8年6月19日、施行はそこから2年6か月以内の政令で定める日)。
最新情報を追いながら、早めに準備を進めましょう。
04 Q&A
よくある質問(Q&A)
Q1. 当社は有価で雑品スクラップを買い取っています。廃棄物ではないので関係ないのでは?
A1. 今回のヤード規制は、廃棄物に当たらない「有価物」であっても、要適正保管・要適正再生の使用済金属・プラスチック物品に該当すれば許可の対象となる制度です。「有価物だから対象外」は通用しません。
Q2. すでに県のヤード条例(埼玉・千葉など)で許可・届出を済ませています。国の許可も別に必要ですか?
A2. 国の新法と各都道府県のヤード条例との関係を明示する規定は、現時点の資料では確認できていません。
状況を注視してご案内します。
Q3. 既存業者は「許可不要」と聞きました。何もしなくてよいのですか?
A3. 廃棄物処分業者等の既存事業者は新たな許可を「受けないで」事業を行えますが、これは「規制が及ばない」という意味ではありません。
保管・再生の基準等は該当する制度となっています。
Q4. いつまでに準備すればよいですか?
A4. 施行日はまだ確定していません。改正法は令和8年6月19日に公布されており、施行は「その公布の日から2年6か月を超えない範囲で、政令で定める日」とされています(遅くとも令和10年(2028年)12月までに施行される見込みです)。
Q5. 全国スクラップヤード規制(改正廃掃法のヤード規制)とは何ですか?
A5.令和8年6月12日に成立した改正廃棄物処理法により、使用済みの金属・プラスチック物品の「保管業」「再生業」を都道府県知事の許可制とする全国一律の規制です。廃掃法に第四章の二が新設され、これまで埼玉県・千葉県などの条例で個別に規制されてきたヤードが全国で許可制になります。
Q6. いつから施行されますか?
A6.施行日は「公布の日から2年6か月を超えない範囲内で、政令で定める日」とされています。改正法は令和8年6月19日に公布されました(令和8年法律第43号)ので、遅くとも令和10年(2028年)12月までに施行される見込みです。ただし、対象品目や小規模事業者の適用除外など、細部は今後の政令・省令で定められます。
Q7. 有価で買い取っているスクラップでも許可は必要ですか?
A7.有価で買い取っている物品であっても、「要適正保管物品」「要適正再生物品」に当たれば許可が必要です。「有価物だから廃棄物処理法は関係ない」という従来の理解は通用しません。これが今回の改正の最も大きなポイントです。
Q8. どんな許可が必要になりますか?
A8.「保管業」(要適正保管物品を保管する事業)と「再生業」(要適正再生物品を再生する事業)の2種類で、いずれも都道府県知事の許可です。有効期間は「5年を下らない期間」ごとの更新制とされています。
Q9. 既存の事業者も新たに許可を取り直す必要がありますか?
A9.廃棄物処分業者などの既存事業者は、新たな許可を受けずに事業を行える「適用除外」とされています。ただし保管・再生に関する基準等は適用される前提で設計されています。すなわち、適用除外でも、有価物の金属などの保管のルールは適用されます。
行政書士法人オフィスクサマのヤード規制サポート
サブタイトル
05 ご相談・支援
行政書士法人オフィスクサマのヤード規制サポート
当事務所は、産業廃棄物・スクラップヤード・各種リサイクル法務を専門領域とする行政書士法人です。全国のヤード規制についてもご支援します。
ある物品・事業場が規制対象に当たるか、廃棄物該当性・有価物性をどう判断するかの最終的な判断権限は所管自治体(都道府県等)となります。
当法人では、その判断を見据えた事前整理と手続支援を行います。
「うちは対象になるのか」
「県条例の許可は取ったが、国の許可も必要になるのか」
などご不安な事業者様は、お気軽に行政書士法人オフィスクサマまでご連絡ください。